令和6年度 千葉県ワーケーションのこれまでとこれから
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千葉県では、令和3年度からワーケーションへの取り組みを開始し、令和6年度で4年目となりました。(令和5年度の取り組みはこちら)ワーケーションという言葉はかなり浸透してきましたが、実施事例自体は認知度よりも少ないのが現状です。その中で、これまでとこれからの千葉県のワーケーションへの取り組みについて、千葉県商工労働部観光政策課の担当者からお話を聞きました。
これまでの千葉県全体のワーケーションへの取り組み
令和3年度~令和5年度には、「ちばワーケーション受入促進事業」の一環として、県内での計4回のモニターツアー(内、1回は南房総エリア)を実施。チームビルディングをメインとした体験型アクティビティやSDGsに着目したファームツアーなど、千葉県の自然資源を活かしたプログラムを行いました。また、熊谷千葉県知事もワーケーションを体験。その様子は千葉県内でのワーケーションに関する情報のポータルサイト「ちょっとちかばでワーケーション」で発信し、千葉県でのワーケーションをPR。さらに、「ちばワーケーション環境整備事業補助金」にて、ワークスペースの改修や、Wi-Fiの整備などに対する支援を行い、基礎的なワーケーション環境を整えてきました。
令和6年度は環境面だけではなく、ワーケーションプログラムの開発や、人材育成など、ソフト面を支援する補助事業を実施し、ハード・ソフト両面での受け入れ態勢を強化。その魅力を発信するとともに、県内のワーケーション受入地域と、ワーケーション実施企業をマッチングするため、東京ビッグサイトで開催された「第2回国際ウェルネスツーリズムEXPO」への出展もおこないました。
さらに、企業へ向けたより積極的な取り組みとして、参加人数(30人泊以上60人泊まで)などの要件を満たした県内での合宿型ワーケーション時に利用できる「ちばワーケーション実施企業助成事業」を新設。企業へのアプローチを強めています。
他の自治体でのワーケーションへの取り組み
一方で、日本全国でのワーケーションの取り組みはどうなっているのでしょうか?
ワーケーションの情報発信をしている他自治体のWEBページを調べてみると、大きく分けてふたつのワーケーションスタイルがあることが分かりました。
ひとつは、企業・法人向けワーケーション。研修を目的としたプログラムがほとんどで、「ワーケーションをすることでなにが得られるか」を分かりやすくPRする取り組みが人気を集めていました。
もうひとつは、フリーランスなど個人向けワーケーション。こちらは、地域特性をPRし、どんなところなのか、どんな風に過ごせるのかにフォーカスした取り組みが多く見られました。
千葉県ワーケーションの今後の課題と展望
千葉県のワーケーション情報ポータルサイト「ちょっとちかばでワーケーション」の名前の通り、千葉県のワーケーションの大きな強みは都心からの物理的な「近さ」。
「研修型ワーケーションへの途中参加がしやすい」「状況に合わせて日帰り・宿泊を選びやすい」「社内でのイレギュラーなトラブル対応などがあれば途中で首都圏のオフィスに戻ることができる」「単純に交通費コストが低い」など、オフィスから離れた自然環境もありつつ、業務に支障の出にくい気軽さのあるワーケーションが可能です。
この大きな強みをもって、「第2回国際ウェルネスツーリズムEXPO」へも千葉県として参加しましたが、ブースを訪れてくださった各企業の方と話をしてみたところ、一個人として興味を持ってもらっても、企業経営者や労務担当者のワーケーション実施へのハードルは未だ高いまま。
近年言われはじめたGX(Green Transformation:グリーントランスフォーメーション)を意識した企業価値への考え方や、利益追求だけでない企業の在り方などの概念の浸透が進むと、地域や自然に関わるワーケーションが増えていくのではと考えられています。
また、ワーケーションと個人のプライベート休暇の境目があいまいで、どこまでがワーケーションなのか補足しきれないというのも課題のひとつ。前述の「ちばワーケーション実施企業助成事業」での企業の反応や実施後のフォローアップなどをおこなってニーズを探っていきます。
南房総エリアに期待すること
最後に南房総エリアに期待することを担当者に聞きました。
「南房総は千葉県内でも地域内の事業者連携がすでにあり、実績や新しい事例も多くある先進地域。多様なニーズに応えてきた実績を、千葉県と協力しながら活かしてほしいと思っています。」
ワーケーションの意義が多様化し、ニーズもそれぞれになってきています。南房総エリアだからこそできるニーズに寄り添ったワーケーションを令和6年度以降も提供できるよう、新しいプログラムやアプローチを進めていきます。