「第2のふるさと」づくり。新しいワーケーションの形を考える@南房総レポート
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地方でのワーケーション、特に都心に近い千葉県の南房総ワーケーションで注目されるのは「気軽に地域とかかわり、地域課題に触れること」です。さらに地域とかかわることでいわゆる「関係人口」が増加し、ワーケーションの現場である地域も活性化する流れが見えてきています。
今回はワーケーションの間口を広げる新しいワーケーションの形のアイディアとして、関係人口増や地域活性化を目指した取り組み「ヤマナアカデミー」についてレポートします。
シェア里山で広範囲な興味に応えるアカデミー
地域課題そのものをコンテンツ化し、自給自足スキルを学びながら楽しく課題解決を目指すことをコンセプトとした「ヤマナアカデミー2022」。会場となったのは、千葉県南房総市三芳(みよし)の山名地区にあるシェア里山・ヤマナハウス。ヤマナハウスは都心と南房総をつなぐ交流拠点としても使われ、コワーキングや研修、宿泊まで可能な南房総らしい里山ロケーションのワーケーション施設でもあります。
今回は、約2か月のスケジュールで3回の講座と7回の番外編プログラムが組まれ、地域で活躍するプロフェッショナルを講師に、地域課題をテーマとして2つのコースが開催されました。
ひとつめは、狩猟に関する自給自足スキルと獣害問題をテーマにした「狩猟ジビエコース」。もうひとつは、DIYスキルと空き家・空き地問題をテーマにした「小屋DIYコース」。どちらも、実際に見学したり作業したりしてスキルを身につける実技パート、知識や考え方のスキルをインプットする座学パートに分かれ、学びを凝縮したプログラム構成になっています。
また、南房総の海エリア・岩井地区での5泊分の民宿宿泊と講座後の夕食交流会をセットにし、スキル習得とともに同じ参加者やスタッフとのコミュニケーションや南房総での二拠点生活を楽しめる形にプランニング。まさに、観光庁がビジョンにかかげる「住んでよし、訪れてよし」を体感できる機会になったのではないでしょうか。
「ヤマナアカデミー2022」は観光庁の「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」と、県の「観光コンテンツ高付加価値化促進事業」にも採択されました。
主催した合同会社AWATHIRDの永森昌志さんは
「思った以上に幅広い興味を持った参加者が集まりました。みなさん好奇心旺盛で、自分の興味をもとに学びや交流を積極的に深めていて、まさにアカデミーという感じでしたね。講座の講師に南房総地域で活躍する人たちを迎え、スキルをシェアしてもらえたのは、関係人口増や地域活性化につながったと思います。参加者にとっては、南房総への新しい入り口ができたように感じてもらって、ヤマナアカデミーのもうひとつのコンセプト『いきつけの田舎』みたいに感じてもらえたらいいですね。もし、今すぐになにかアクションが起こらなくても、数年後に南房総とのつながりを思い出してもらえるような機会になったと思います。」
バケーションだけでは物足りないワーケーション
都心と地方を行き来する二拠点生活に近づきつつあるとされる日本のワーケーション。日本ではバケーション文化が薄いこともあり、観光エリアでの休暇(バケーション)だけと組み合わせたワーケーションでは物足りないと感じられているのかもしれません。
「ヤマナアカデミー」で実践していた、学び(エデュケーション)、交流(コミュニケーション)、新しいスキル取得(イノベーション)などは、新しいワーケーションアイデアとしての魅力が感じられました。
現在の仕事をしつつ、自分の興味に応じて地域との交流や地域への愛着を育てながら行き来する二拠点生活に近いワーケーションスタイルは、南房総ならではの新しいワーケーションスタイルと言えるのではないでしょうか。
ヤマナアカデミーを見学した、南房総市移住コーディネーターの長谷川理恵さんからは
「ヤマナアカデミーは、普段の生活の中では得られない新たな発見や、自分に向き合える場所だと思います。プログラムの内容はもちろんですが、この場所ならではの体験と参加者同士の交流は、 参加者一人一人にとってプライスレスなとても価値あるものだと感じました。 関係人口創出や地域活性化というテーマも取り入れた南房総市ならではの新しいワーケーションスタイルとして、今後の広がりにとても期待しています。」
というコメントをいただき、自治体からも新しいワーケーションスタイルに期待が寄せられています。
ヤマナアカデミー
https://yamana-academy.jp/
南房総市移住・定住情報サイト|七色の自然に暮らす
https://www.minamibosocity-iju.jp/